パニック障害の症例

パニック障害で動悸に苦しむ男性

当院に来院された方の症例を解説します。

30代男性

初診日:X年10月

主訴・現病歴

主訴

パニック障害(パニック発作がメイン)

 

現病歴

X年の6月から国家試験(10月に試験)の準備で忙しくなり、トイレが近くなる。

7月から体のだるさを感じるようになり、食欲が落ちてくる。熱中症にならないように水分はこまめに取るようにしていた。

7月終わり頃、運転中に手先のしびれが現れ、20分ほど継続する。

8月に入ると夕方以降の体のだるさがかなり強くなり、夕食を食べられない事が増える。運転中の手足のしびれも繰り返し起こる。

9月20日の起床時、5〜10秒ほど続く左胸痛が10回ほど起こる。

その日の仕事帰り、過呼吸・手足の硬直・呂律が回らないといった症状が起こり、救急車を呼ぶ。車内の測定で脈拍は160回/分となっていた。30分ほどで落ち着き、帰宅後の体調は安定していた。

その後、病院を受診するも検査では異常が見当たらず、ミルタザピン・アルプラゾラムを処方される。

10月(国家試験の月)に入り、3日間連続で上記のパニック発作様症状が帰宅中の車内で起こり、連日救急車を呼ぶことになる。

病院で「パニックの状態」と言われ、薬をエスシタロプラム・セルトラリンに変更。国家試験は無事に終えるも、症状は安定せず、帰宅中の車内はいつもソワソワ(予期不安)する。薬を飲み続けることにも不安があったため当院を受診。

体質・既往歴

やや神経質な性格で、爪を噛むクセあり。多汗傾向(脇や手掌など)で口が乾きやすい。また湯船に入るとのぼせることもあり、普段から冷たい飲料を欲する。胃腸は弱い方で、冷たいものを多飲すると軟便下痢しやすい。

10歳頃、急な腹痛あり虫垂炎と診断。

20代は大きなケガや病気はなく過ごせていた。

30代になり(1年半前)、脇のあたりを中心に蕁麻疹が出て強い痒みを生じる。

パニック症状が出てから、最近は喉が詰まる感じや、切れにくい痰が見られることあり。

東洋医学的な所見・弁証(診断)

所見

脈:1息3.5至、弦脈、脈力あり、脈幅まずまず。

舌:紅色。舌尖紅刺が顕著。両舌辺無苔。

腹診:心下の緊張(深部)、臍周の緊張。

背候診:左心兪虚中の実、神道実、左膈兪実、右肝兪実、両胞肓の冷え。

経穴:右内関実、左後渓虚中の実、左通里〜神門まで虚、左太衝虚中の実、右太衝実、左章門実。

 

弁証(診断)

主:心肝火旺 従:心血虚

元々内熱傾向である体質。夏の暑くなってくる時期に体調不良が現れ始め、国家試験というストレスがかかる状況下であったこと、また同時期に喉の詰まり(梅核気)や粘稠性の痰が出ていることなどから、肝鬱化火が生じ、それが心に波及して主訴発症に至ったと考えられる。だんだん仕事帰りの疲れた時間帯に発作が集中するようになってきたこと、心血の状態を示唆するツボに虚の反応が複数あったこと、脈幅が少し乏しい状態であったことなどから従属的に心血虚が関与していると判断した。

経過・まとめ

経過

初めは心血を補いながら、深部の熱を浮かせるように鍼治療を開始。

よく眠れるようになってきて、だんだん脈幅がしっかりしてくる。

後に心火を直接さばく治療に切り替え、それ以降は帰宅途中の発作や不安感は無くなる。

 

まとめ

ストレス社会である昨今、パニック障害で悩んでいる方は少なくない。

病院での服薬治療だけでは、症状がコントロールできないこともあり、本症例のように薬を飲み続けることに対する不安感を伴う場合もある。

そんな時、鍼灸治療で良い効果を得られることもあり、今回も詳細なカウンセリング、正確な弁証(診断)によって、早期に改善がみられた。

メグリノ鍼灸